1.17~1.17(1997/1/16)
ファイルを整理していたら、いろいろ出てきました。
眠らせておくのももったいないので、
と言うより残しておきたかったので。。。
1997/1/16に作成したものなので、今とは考えも変わってますが・・・
1.17~1.17
街灯は光を失い
まだ日も昇っていない
暗闇の中
寒さに振るえていた
日も昇りかけ
薄明りの中
廃虚となった街を見た
申し訳なさそうに
黒い小雨が降ってきた
マスコミは騒ぎ立て
震災本が立ち並ぶ
がれきの街は全国に広がった
がれきの写真は
大切なものを伝えただろうか
国は国民の生活を抑圧する
経済は国に救われた
自分を救うように
しかし
人の命は天秤に掛けられることもなく
どれくらいの涙が流れただろう
悲しみは今も救われずさまよっている
「あの時、死んでいれば良かった」の言葉を否定することも出来ず
なのに
死を肯定することもできない
震災は一瞬で終わった
その一瞬で震災は大きなプレゼントを残して行った
僕は、みんなに
そのプレゼントを大切にしてもらいたいと願う
そのプレゼントを財産にしてもらいたいと願う
<解説>
この詩は書きたくなかった。理由はよくわからない。でも、なぜか書く気がしなかった。しかし、先日、「震災時の事も今だから笑い話にできる」と言って、その当時の事で話しが盛り上がっているのを見た。もう、震災は思い出になっている人がほとんどだろう。僕自身、この神戸に住んでいなかったら忘れていたに違いない。しかし、被災地では今もなお、苦しみ続けている人が大勢いる。この詩で少しでもわかってほしいと思う。本来、詩に解説文は付けないものだが、僕の未熟な詩では伝えきれない事が多すぎる。この解説文を読んだ後、もう一度、詩を読んでもらいたい。
僕は、あの日まだ布団の中で熟睡していた。だから、震災そのものの恐怖は余り覚えていない。地震から数分後、僕は表へ出た。外はまだ暗く(街灯が消えていたためいつもの暗さとは違った)、それでも何かが道に積み上がっているのがわかった。しばらくして、明かりを用意し、周りをながめてみると、瓦礫の山ができており、電線は垂れ下がっていた。
しばらくして日が昇り、明るくなってきた頃、空から灰が降ってきた。どこかで火事が起きているのがわかったが、それが何処なのかわからなかった。後でわかった事だが、おそらく須磨・長田の方からの灰だったのだろう。(僕が住んでいるのは、長田から西に行った垂水(神戸市の端の方)である。)小雨がちらついた。白い車についた雨滴は黒く汚れていた。情報が届かないためみんなを不安にした。
震災から一ヶ月もすると、本屋には震災本が幾つも並んでいた。そこには、火災の様子や倒壊した建物の写真などが多く載っていた。僕は、その本を開くのが嫌だった。何を伝えたいのかわからなかった。その当時としては、その様な写真が必要だったのかもしれないが、本当に大切な物(人の心)は伝わったのだろうか?
避難所に居た人が、ほとんどが仮設住宅に移って落ちつき始めた頃、住専問題が浮上した。国はすぐに動いた。しかし、被災者に対する補償問題にはほとんど触れられなかった。国は、人の命より経済を優先したように思えた。
もうすぐ、震災2年を迎えようとしている。被災地は3回目の冬を迎えている。僕は、ほとんど毎週、仲間達と仮設住宅に足を運んでいる。未だに、苦しんでいる人が多い。これまでの暮らしで、疲れはてた人達の暮らしは、これまで以上に深刻さを増してきている。
「あの時死んでいれば良かった」「生きていても望みがない。早く死にたい」こんな声をときどき聞く。僕はすぐに「そんなことはないよ」と言えない。どこかで、その言葉を肯定しているように思える。ボランティアは減った。仮設住宅に足を運ぶ人は少なくなった。人々の心は震災を思い出にしている。しかし、僕たちが希望を失ってはいけないと思う。
震災は、今まで隠されてきた社会の問題を浮き彫りにしてくれた。たとえば、孤独死。仮設住宅で孤独死が相次いだ。これは、仮設住宅に限られた問題ではなく、日常の社会でも起こっている問題である。また、人の醜さ。テレビや本等は、早い時期から「もし東京で地震が起こったら」と言い出した。マスコミは、ビジネスを優先する。「阪神高速が復旧した。被災地はほぼ復興している」被災地を知らない人は、信じるに違いない。時として報道は偽物を真実に思いこませる。この様に、震災はいろんな事を教えてくれた。僕は、これを震災のプレゼントだと思いたい。みんながそう思えるようになったら、きっと、良い方向に向かっていくのではないだろうか。
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こんばんは!
あれからもう10年経つんですね・・。
言葉で言うのは簡単かもしれないですけど風化させてはいけませんね。
当時を体験されたからこその詩ですね。
改めて受け止めなければならない自分を
感じました。